フライトジャケットに付いている赤色のリボンについて
今日は久しぶりに服を買いに街へ出た。
秋モノを買おうと思って家を出たけど、最近は朝晩が本格的に冷えてきたので思い切って冬物のアウターを買うことにした。
そこで目についたのがこのジャケットだ。
MA-1で有名なアルファ・インダストリーズのフライトジャケットだ。
MA-1に似ているけど、こちらはフードや襟が付いていて丈が少し長い。
重みのあるシルエットが気に入ったので迷うこともなく購入を決めた。
店員さんがサイズ合わせに付き合ってくれたので「このジャケット、カッコいいですね」と言ったら「この商品は間違いなく売れますよ!」と自信あり気に答えてくれた。
その理由は単純で、“実は毎年売れてます” だそうだ。
そんな雑談ついでに、なんとなく前から気になっていた事を聞いてみた。
それが今回の記事の主題である“フライトジャケットに付いている赤色のリボンについて”だ。
「このリボンって何か意味ある物なんですか?」という僕に質問に店員さんはこう答えた。
「昔は戦闘機のパイロットが基地から発進する時にこのリボンを外して、基地へ帰還した時にまたリボンを付けたそうです。出撃の目印みたいなものですかねぇ。」
この話を聞いた瞬間、自分の中でなんとなくリボンの正体が解った気がした。
こちらから変な質問をしておいて申し訳ないがきっとこの店員さんの話は間違っている。
家に帰ってから赤のリボンについてネットで調べてみると一瞬でその正体が明らかになった。やっぱすげぇよ、インターネットは。
どうやらアルファ・インダストリーズのフライトジャケットにはかなり前から赤色のリボンが付いていたようだ。
しかし、今と以前では少しリボンのデザインに変化がある事がわかった。
僕の買ったジャケットのリボンには「ALPHA INDUSTRIES」と書かれているが、以前までリボンに書かれていた文字は「REMOVE BEFORE FLIHT」だったそうだ。
“REMOVE BEFORE FLIHT(飛行前に外す)”
これは整備が完了した航空機のセンサーなどに付ける注意書きのフラッグに書かれている言葉だ。
何故僕がそんな事を知っているのかというと、この注意書きのフラッグ、実は仕事の取引先が自衛隊向けに販売している製品なのだ。
ちなみに実物は長さが50cmくらいあるのでジャケットのアクセサリーにする事は出来ない。
つまり、フライトジャケットの赤色リボンの正体は航空機の注意書きフラッグをモチーフした物だったのだ。
きっと、ミリタリーアパレルを販売するアルファ・インダストリーズはフライトジャケットに色やデザインに加えて更になにかファンを刺激できるテイストを盛り込めないかと考えたんだろう。
そうして生まれたのが注意書きフラッグをモチーフにしたリボンストラップだったのだ。※あくまで想像です
リボンの正体がわかってすっきりしたが、同時に店員さんの事が頭をよぎった。
よく考えたら店員さんの話はパイロットがリボンを付け外しするという部分以外は概ね当たっているのだ。
注意書きフラッグは飛行前に確実に機体から外されるが、飛行から戻って基地で整備が完了するとまた機体へ装着される。
店員さんがリボンの意味を間違って覚えていただけなのか、それとも店員さんにリボンの意味を教えた人がすでに間違えて覚えていたのかはわからない。
ただ、きっと話の元を辿って行くとリボンの真実を知っている人が居るんだろう。
もしかしたら最後に待っているのは凄腕の戦闘機パイロットかもしれないし、ベテラン整備士かもしれない。
出処のわからない伝言ゲームのルートを妄想して過ごした土曜日だった。