とりあえず"KANA-DERO"を見て生まれた感情を吐き出したいだけの記事
先日、『Kaede Higuchi 1st Live "KANA-DERO"』が開催された。
僕は残念ながら当日は現地に行くこともリアルタイムで生中継を見ることも叶わなかったのでニコニコのタイムシフトで先程全編を見終えたところだ。
その内容はあまりにも、あまりにもエモーショナルなライブイベントだった。
一部と二部のトータルでも2時間に満たないライブ。
しかしその短い時間の中で樋口楓、そしてゲストのにじさんじメンバー達が僕へ刻み込んだ物は5時間超の大規模フェスイベントにだって引けを取らない物だった。
だからこの記事はライブレポートのような書き方はせず、僕の中に生じた感情を言語化することに努めたいと思う。
あらかじめ前提として示しておくが、僕は樋口楓さん及びにじさんじグループの熱烈なファンというわけではない。
にじさんじ1期生がデビューした当初から他に見たい配信が無ければ見る、見逃した中に話題性の高い配信があればアーカイブを再生するという程度のライトなファンだ。
そんな僕にもこれだけの感動を与えたのだから、きっと本当に熱心な樋口楓さんのファンたちは感無量だろう。
積み重ねてきた時間が感動へと直結したステージ
今回のライブはデビュー以来、樋口楓さんが積み重ねてきた物の集大成だったと思う。
配信者として活動する中で生まれたファンだけに伝わるネタ、他のにじさんじメンバーとの関係性、歌ってみた動画で支持を得た歌唱力など、最初から緻密に計算されていたかのように今までの彼女の全てがこのライブへ紐づけできるように感じるからだ。
しかし逆に、いつかの雑談配信で「マビノギを広めるためにVtuberになった(要約)」と言っていた彼女とステージに立っている彼女が地続きの歴史の上に居るというのがライブを見終わった今でもまだ現実味がない。
みるみるチャンネル登録数が増え、色んなプラットフォームで配信活動をし、にじさんじ外の人達ともコラボ活動をするようになっても樋口楓というVtuberは常に等身大の女子高生だった。
そんな彼女がステージ上で多くの人の視線の中心に立っているという現実に僕の理解が追いつかない。
普通の女子高生を1年もしない期間でそんなカリスマに育て上げてしまうVtuberの世界にはただただ驚かされるばかりだ。
ライブの中で特に樋口楓さんを見てきて良かったと強く感じた場面があった。
『命に嫌われている。』のイントロが流れ始めると、それに被せるようにゲスト出演していた月ノ美兎さんのセリフが流れたのだ。
「そう私ね、死んだらどうなるのかっていうのすっごく気になってるんですよ。意識がなくなるのがすっごい怖いんですよ。寝てる時みたいな感じじゃないですか、それがね、続くっていうのがちょっとわからないですね」
これを聴いた時、僕の身体の奥からブワッと熱が湧いてきた。
あぁぁあっ!これ!!!!
すっげぇ前の!!すっげぇ前の雑談にゲストで委員長が来た時のやつ!!!
ああっ!!すっげえぇ!!!!すっげぇの持ってきたコイツら!!!!!
セリフで完全にやられた。
心を覆っていた最後の薄皮をズタズタに切り裂かれてむき出しにされたような気がした。
こうなったらもう全てが心に突き刺さる。
『命に嫌われいる。』の切ない歌詞が刺さる。
感情の入ったでろーんと委員長の歌声が刺さる。
会場の雰囲気が刺さる。
ニコニコのコメントが刺さる。
そして更に、極めつけのダメ押しとも言える光景が最後に待っていた。
曲が終わりに差し掛かりアウトロが流れ始めた時、月ノ美兎さんが退場前の口上を述べた後で一瞬だけ間をおいて樋口楓さんの名を呼んだ。
そして一言、「ありがとう」と告げてステージからはけたのだ。
それを聞いた樋口楓さんは言葉を失っている様に見えた。
「ありがとう」に込められたたくさんの思いを噛みしめて、今にも泣き出しそうになっているように見えた。
3Dモデルが表現できる顔の表情パターンは少なく、当然涙が流れるような機能は備わっていない。
それでも僕には彼女が感情の波に揺さぶられてるように見えたんだ。
ネタ抜きに人生で初めてニコニコ動画の画面を見ながら涙が零れた瞬間だった。
※件のセリフを言っていた配信
“今”のコンテンツは“今”楽しむべき
最後の曲を歌っている時、彼女は少し気になる事を言っていた。
「いつかお別れの日は来るかもしれないけど、もしそんな日が来てしまっても私の心とか魂はみんなのことをわすれないから安心して」
とても良いメッセージだと思った。
多くのアイドルやアーテストは自分たちとファンの関係性が有限であることを意識させようとはしないものだ。
普通ならここは「いつまでも付いてきて来てくれ」だとか「まだまだ終わりじゃない」とか言ってファンに永遠の幻想を与えるシーンだ。
でも彼女は、自分自身が有限の存在である事をあえて示唆した。
その上で“今”を一緒に楽しもうとファンに語ってくれたというのがとても愛おしく感じられた。
Vtuberブームは一時的な物かもしれないし、ブームが続いたとしても2019年は去年を超える盛り上がりを見せることは無いかもしれない。
確実なのは今この瞬間はブームは最高に盛り上がっているし、僕自信がVtuber達の活躍を見るのを最高に楽しめていると言うことだ。
お気に入りのVtuberを見るために一日中パソコンに張り付いているのも、リアルイベントのために遠くまで足を運ぶのもとても楽しい充実した時間だ。
限りある幸せな日々を、心から大切にしたいと思わせてくれた素晴らしいライブだった。