大恥をかいた
今日は職場で大恥をかいた。
もしかしたら恥だと感じているのは自分だけで周囲から見たら大した失敗では無かったのかもしれないけれど、俺は間違いなく恥ずかしくて悔しい気持ちになった。
何が起きたのかと言うと、これまた書くのが恥と感じるほどにしょうもない。
“仕事の電話が上手く出来なかった”
だだそれだけのことだ。
上司に言われたことをメモしてその通りに話せば良いだけの事だったのに、しどろもどろで珍妙かつ曖昧な敬語モドキを話すのが精一杯だった。
同僚たちは苦笑い。
上司は心配そうな顔で慌てる俺を見ていた。
なんとか話を進めようとしていると電話先の相手は何やら怒鳴り散らしはじめた。
説教に相槌を打つことも出来ず、どうしようもなくなって電話を切った。
すぐに「なんかめっちゃ怒られたんですが……」と上司に泣きついた。
俺は高校を卒業してからすぐに工場に就職してそれから9年間ロクに電話対応や接客を経験してこなかった。
きっと優しい人なら“経験がないからしかたない”と言ってくれるだろう。
俺だって自分自身でそう思う。
それどころか初対面の相手に電話でキレ散らかす相手のほうが頭おかしいと思う。
でもそれじゃダメなんだと解っている。
中途採用っていうのは会社に求められる技術を最初から最低限持っていなくちゃならない。
いい歳して転職したのに未経験を理由にするのは甘えだ。
就職してからの一ヶ月間で自分に足りていない能力はある程度把握していたのにそれを補う努力をしていなかった。
電話一本まともに出来ない自分の現実を受け止めなくちゃいけない。
変な話だが、今回の失敗は俺が経験したいと思っていた事の一つだ。
俺は自分の成長を一番邪魔しているのは過去の自分だと思っている。
長い社会人生活のなかで変に凝り固まってしまったクソくだらない仕事人としてのプライドを粉々にしてくれる経験をもっと味わいたい。
恥をかいて無力さを痛感して焦ってあがいて新しいスタート地点に立ちたい。
俺が今ゴールだと思っている地点はきっとまともに社会人をやってきた人にとってのスタート地点だ。