誰も侮れない
まだ新しい会社に慣れたとはいえないが、この数日で得た刺激は大きかったと思う。
新しい環境での経験は全て肥料のようなもので、自分の成長の糧になっているという実感がある。
一番の自分にとって大きな変化は女性への見方が少し変わった事だ。
今の職場では女性の先輩がとても丁寧に仕事を教えてくれている。
現職で8年のキャリアがあるそうなので技術的な指導が出来ることに違和感はなかったが、説明のわかり易さや作業の手際の良さは単に長い間勤務しただけでは身につかないレベルの物だった。
俺は自分自身をを女性を差別するような人間ではないと思っていた。
しかし先輩の仕事ぶりに自分でもびっくりするぐらいに感銘を受けているのは、先輩が女性だったからだ。
“女性なのにこんなに仕事ができる”という驚きがあったのは間違いない。
無意識のうちに女性の仕事には期待しないという考え方が自分の中に生まれていたのだ。
これはとても失礼な事だし、改める必要があると強く感じた。
仕事を辞めて無職になり、それまで目を向けて来なかった人や文化に目を向けるようになった。
それ以来、自分の価値観がどれほど小さい世界だけを見て構築された物なのかを痛感する出来事がたくさん起きた。
俺の価値観は古い。
自分よりずっと年下で凄い技術を持った人が居る。
自分の気付かない事に気付いている人が居る。
自分の知らない知識を持った人がたくさん居る。
当たり前の事だが、これを意識して生活することは今まで無かった。
自分のちっぽけさに気付いたらもう誰も侮ることは出来ない。
これは多く人に劣等感を抱いてしまうという話ではなくて、出会う人全てに尊敬できる部分があるかもしれないという可能性に気付いたって話だ。